フクロムシを展示しました

2017年4月 10日(月曜日) 筆者 もりたき

フクロムシに寄生されたヒシガニが入館したので、さっそくへんな生きもの研究所で展示しました。

フクロムシは体節構造を全く持ちませんが甲殻類の一員で、同じ甲殻類であるカニやエビなどに寄生します。

カニの外側に見えている袋状の部分の中身のほとんどが生殖巣(卵)で、この付け根から出ている根のようなものをカニの体の中に張り巡らして栄養を吸収しています。

いや、表現が逆かな?

「袋から根が…」と言うよりも「根から袋が…」といった表現の方が正確でしょうか。

 

実はフクロムシの生活史はなかなかユニークです。

簡単に解説すると…まず、メスのキプリス幼生(泳ぎます)はカニの体表に取り付くと、ケントロゴン幼生という形態になります。

そしてケントロゴンはカニの体に針を刺して中身だけ体内に侵入します。これがバーミゴン幼生。

バーミゴンはカニの血流に乗ってお腹あたりに到着すると、そこの血管(血洞)に付着して、そこからどんどん根を伸ばしていきます。

そして最終的に生殖巣である袋を作り、カニの外側に飛び出してくるのです。

つまり、根が育って袋ができるのですね。

 

いつも思うのですが、この生活史はキノコに少し似ているような…(菌糸が成長してキノコになる)

そして、フクロムシのオスは精巣以外の器官がほとんど退化していてとても小さく、メスの体の中に潜んでいるそうです。

受精すると袋の色は徐々に変化し、その後、卵から孵化したノープリス幼生が泳ぎ出てくるそうです(脱皮を何回か繰り返してキプリス幼生に変態します)。

ちなみに受精前の色は「ヴァージンイエロー」と表現されるとか。

 

そして、袋の部分は何回か繁殖するとポロリと落ちるらしい…

 

フクロムシの仲間の展示はこれで2回目ですが、今回の個体は宿主がヒシガニということもあり、サイズも大きく観察も容易。

フクロムシ好きの方は是非ご来館ください(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】

春の磯でオカダウミウシに会う

2017年4月 9日(日曜日) 筆者 もりたき

久しぶりに春の磯に出かけました。

水族館からすぐ近く。

時期が良いとたくさんの生きものに出会うことができる磯ですが、まだ少し早かったのか、目立った生きものには出会えずじまい…

そんな中、オカダウミウシをたくさん見つけました。

私の指先に見えていますが、小さなウミウシです。

わかりやすいように拡大してみました。オレンジ色の可愛いウミウシです。

オカダウミウシはウズマキゴカイを餌にしています。

他の多くのウミウシは卵から孵化した幼生がプランクトン生活を送るのに対して、このオカダウミウシの幼生は初めから親と同じ姿で孵化します(直接発生)画像上の個体のお腹の中に卵が入っているのがわかります。

直接発生なので卵のサイズは体に対してずいぶん大きいですね。

こちらの個体は交接器が飛び出てたまんま(矢印)

交接したばかりなのか、興奮しているのか…

早くしまいなさい(笑)

ちなみに、ウミウシの仲間は雌雄同体なので、どの個体も交接器を持っています。

【飼育研究部 森滝丈也】

 

正体不明イソギンチャクを展示しました

2017年4月 9日(日曜日) 筆者 もりたき

熊野灘の沖合底引き網で水深300mより採集したオレンジ色のイソギンチャク。

研究者も初めて見るイソギンチャクだそうで、今のところ種類はもちろん、どの仲間に所属するのかもわからない…

 

そんな正体不明イソギンチャクですが、生きているうちに見ていただこうと、さっそく先日の金曜日から へんな生きもの研究所で展示開始しました(サガミモガニ水槽内)

移動直後は縮んでいましたが、徐々に慣れてきたのか触手を伸ばしてきました。

触手は24本。

かなりシンプルな姿をしていて、原始的なイソギンチャクのような印象。

今はひとまず元気ですが、このまま安定して飼育できるか不明です。

ご覧になりたい方はお早めにどうぞ~。

【飼育研究部 森滝丈也】

2017.04.10に死亡を確認したため展示は終了しました。

普段は外套膜に覆われています

2017年4月 8日(土曜日) 筆者 もりたき

日本で採集されるタカラガイのうち、ニッポンダカラ、オトメダカラ、テラマチダカラの3種は、その美しさと希少性から日本三名宝と呼ばれています。

貝殻は陶器のようにツルツルです。

でも、へんな生きもの研究所で飼育中のニッポンダカラは体から突起のようなものが伸びているけど…どうして?

そう、同僚にたずねられ、え~!? 理由を知らないのかと…驚きました(笑)

 

実は、タカラガイの仲間は普段は外套膜と呼ばれる膜を伸ばして貝殻を覆っているのです。

普段はこんな姿。

柔らかな外套膜をそっと押しやると中からつるんと貝殻が顔をのぞかせます。

地味な外套膜に隠された陶磁器のような貝殻。

マニアじゃなくてもココロ惹かれますね。

 

こちらは三名宝ではなく、普通種のハナビラダカラ(水槽のお掃除要員です)。

これもニッポンダカラ同様、普段は地味な外套に覆われていますが、外套が縮めばきれいな貝殻を見ることができます。

【飼育研究部 森滝丈也】

再びのヒゲウミシダのスイクチムシ

2017年4月 7日(金曜日) 筆者 もりたき

北方系のヒゲウミシダは環北極圏を中心に分布する世界最大のウミシダです。腕長は少なくとも20cm以上なので腕を広げれば端から端まで50cmに達するほど。

日本海側や関東以北の水族館で展示している個体は立派で見応えがあります。

ところが、生息南限である熊野灘の個体は腕長10cmほどで、むしろ小型~中型ウミシダといった印象。

同じ種類なのに、これほどサイズが違うのは興味深い。

 

さて。

先月の漸深帯底引き網採集で、そのヒゲウミシダが3個体だけ採集できたので、そのうちの2個体をへんな生きもの研究所で展示してみました。

今回はこのヒゲウミシダに心ときめく(個人的に)生物が付着していたので、それも展示できないかと。

それはスイクチムシです。体長5mmほど。

スイクチムシは、見かけからは想像つきませんが、実はゴカイなど同じ多毛類(環形動物)の一員。

170種ほどいるほとんどがウミユリ類(ウミシダ類)に寄生していますが、ごく一部がヒトデ、クモヒトデ類から報告されています。

一昨年、去年と熊野灘の沖合底引き網で採集した複数種のヒトデからスイクチムシの仲間(Asteriomyzostomum属 未記載種)を見つけました。

 

今回のヒゲウミシダのスイクチムシは、二つ折りのクレープ(あるいはタコス?)みたいな姿をしている Endomyzostoma属の一種(エンドミゾストマ属)

遺伝子解析からこの属はスイクチムシ類の祖先形だと考えられているようです。

このあたりも興味をそそられます。

実は、私がヒゲウミシダから Endomyzostoma属スイクチムシを見つけたのはこれが2回目。

初めて状態良く採集できたので展示したのですが、残念ながら数日後に死亡…

 

それでも貴重な生きものなので、無駄にしないよう標本に。

背景はなぜかさわやかな青空(笑)

なかなか興味深い生きものです。

【飼育研究部 森滝丈也】

君の名は。

2017年4月 6日(木曜日) 筆者 もりたき

去年の話になりますが、閉館間際の館内で若い男女に声を掛けられたことがありました。

女性の方がイソギンチャクが大好きで色々と質問をしてこられました。本当にイソギンチャクが好きなようで、話をしているうちにこちらもどんどんイソギンチャクを紹介したくなってきました。

決して、その女性の笑顔が魅力的だったからというわけではなく(もちろんそれも理由のひとつですが…)老若男女問わずマイナー生物が好きな人とは色々と話をしたくなるものです。

もう少し早く声をかけてくれれば、いろいろと案内できたのに…と内心思いつつも、残りの10分で館内のイソギンチャクを駆け足でざっと案内しました…そんなエピソードを昨日ふと思い出しました。

 

実は、先月27日に熊野灘 水深300mから見慣れないイソギンチャクが入館して、予備水槽で飼育中なのです。

一見すると普通のイソギンチャクに見えますが、触手は24本と少なく、体壁を透して隔膜が目立ちます。

ん?こんなイソギンチャクはこれまでに見たことがないなぁ…

ん~気になります。

でも、イソギンチャクの仲間は解剖して体の中の隔膜と呼ばれる膜の枚数や配列を調べたり、遺伝子などを比較しなければ種類の特定は難しいそうです。外見を見るだけでは種類はほとんどわからないとか。

それでも画像を見ればどの仲間(科)ぐらいはわかるかな?と、昨日 付き合いのあるイソギンチャク研究者(博士課程の学生)に問い合わせてみることにしました。

ところが、残念ながら判断がつかないとの返事。

 

それで、彼の師匠でもあるイソギンチャク分類の第一人者の研究者に判断を仰ぐことになったのですが…

その研究者の方ですら「見たことがあるけれど種類がわからない」のではなく「実際に見たことがない」イソギンチャクであることが判明したのです。なんと!

つまり、画像を見る限りでは、科名どころかその上の分類群すら全くわからない、謎イソギンチャクであるということが明らかに…

熊野灘にはまだまだこんな生きものがいるのですねぇ。

このイソギンチャクは、しばらく予備水槽で様子を見たのち、へんな生きもの研究所で展示したいと考えています。

【飼育研究部 森滝丈也】

ホシムシに共生するロクソソマ

2017年4月 5日(水曜日) 筆者 もりたき

ロクソソマは内肛動物という、マイナーなグループに属する生きものです(ロクソソマ科)。

あまりにもマイナーすぎてロクソソマどころか内肛動物すら通俗名(「○○の仲間、○○類」と呼べる名前)を持たないので、内肛動物を簡単に説明するのはなかなか大変です(笑)

学生のころ、ロクソソマの解剖模式図を見て海産無脊椎動物にぞっこん惚れてしまった私…。結果(他にも色々と理由はありますが)就職先を水族館に決めたわけですから、ロクソソマには思い入れがあります。こういう感情を抱く生きものは他にいないような気がしますね。

これまでに鳥羽水族館の水槽内で何種類ものロクソソマを見つけましたが…

今、アツいのは熊野灘 水深300mで採集した、ツノガイの貝殻に棲むホシムシの仲間の吻に共生する小さなロクソソマ。

先日の飼育日記で紹介したばかりですが…

このロクソソマはこれまでのものと異なり、柄がかなり短いのが特徴。

高さは0.16mm

ホシムシの吻に共生する習性も興味深いです。

ピントが甘いですけど、短くがっしりとした触手が8本。

あぁ、顕微鏡を見ているだけで、どうしてこんなにときめくんでしょうねぇ(笑)

先日も、ほとんど恋だとか書いて、同僚から笑われ(引かれ?)ました(笑)

このロクソソマは、まだ名前の知られていない種類である可能性が高いので、引き続き調べていきます。

【飼育研究部 森滝丈也】

 

引っ越しの途中

2017年4月 4日(火曜日) 筆者 もりたき

春は別れと出会いの季節ですが、先日、ちょっと嬉しい出会いがありました。

 

朝、へんな生きもの研究所の見回りをしていると、お母さんと小学生の男の子が入ってこられました。

私の姿を見るなり「あ、森滝さんがいるよ!」とお母さん。

飼育日記をよく読んでくれているそうです。

 

何気なく、どこから来られたのですか?と声をかけたのですが…

何と…

元々、宮崎県に住んでいたそうですが、北海道に引っ越すことなり、今まさに引っ越しの途中とのこと(車で北海道に向かっているそうです)

引っ越しの途中にどうしても鳥羽水族館に寄っていきたい、と寄り道してくれたそうです。

ありがたいですね。

 

その小学生の男の子は熱心にへんな生きもの研究の水槽を見学していましたが、特に貝が好きな「貝マニア」(お母さん談)だそう。

それじゃぁ、今話題のニッポンダカラがいるから見てごらんよ、と紹介しました。

鳥羽水族館、楽しんでいただけたでしょうか。今頃はもう、北海道に到着しているでしょうか…

 

さて。

その小学生にも見てもらったニッポンダカラ。先日も新聞記事にもなりましたが、日本三名宝のひとつで、まさに日本を代表するタカラガイなのです。

三重県で生きた状態で採集されたのは40年ぶりだとか。

生きた姿で展示することはとても珍しいレア・タカラガイです。

 

貝殻が美しいだけではなく、よく見るとなかなか動きもかわいらしい(うまくお披露目できていないのですが…)

そこで、今朝は可愛いポーズで写真を撮ってみました。

よいしょよいしょ…

ウパーッ!

小さな目と口が可愛い(笑)

横から

【飼育研究部 森滝丈也】

ホシムシに共生するロクソソマ

2017年4月 3日(月曜日) 筆者 もりたき

先日書き込んだ熊野灘の水深300mで採集した謎の「黄色い球」(2つ採集できましたが、こちらは採集時に既に中身が無かった方です)

黄色い球の正体は依然不明…

黄色い球が付着しているツノガイの貝殻の中にはホシムシの仲間が住んでいました。

昨年採集したものも同様でした。

これは、なかなか興味深いシェアハウスです。

…ということは、アイツも見つかるかも。

アイツとは、このホシムシの体表(吻の体表)に共生していた内肛動物(おそらくロクソソマ類)。

昨年はロクソソマ4-5個体がホシムシの体表で見つかりました。

実物を目にする機会は少なく、研究者もほとんどいないマイナーなロクソソマ類ですが、この飼育日記では時々紹介しています。

ダイオウグソクムシに付着するロクソソメラやオニダルマオコゼに付着していたロクソミトラなどなど…

以前、研究者に問い合わせたときに「このマイナーな生物でこれだけの観察をされる方はなかなかいません。かなり色々と観察されていることとお見受けいたします」との返事を頂いたことがありますが、個人的に非常に好きな動物群なのです。

このホシムシで見つかったロクソソマは高さ0.1-.02mmほど(小さい!)

 

さっそく、今回採集したホシムシを観察してみます。

ホシムシは吻を出し入れするので、詳細の観察はなかなか難しい…

が、おぉぉ!

やっぱりいました!興奮MAX! 見るだけでテンションが上がります。この感情はもうほとんど恋(笑)

前回と同じくロクソソマはホシムシの体と吻の付け根あたりに付いていたので、やはりこのあたりに共生するものなのかもしれない…と思っていましたが、ホシムシがスルスルと吻を伸ばしきった瞬間、驚きました!うわっ!先端にめちゃくちゃたくさん付着している(興奮!)

ホシムシが動く上にロクソソマは小さいので、写真はボケボケですが、これは興味深い。

観察は続けます。

【飼育研究部 森滝丈也】

鳥羽の女。

2017年4月 2日(日曜日) 筆者 ともちゃん

 

どうも皆さん、こんばんは。

暖かくなってきまして過ごしやすい季節。

いかがお過ごしでしょうか?

 

やっぱり春は良いですね~!

花粉を除いて。笑

 

 

さてさて今日は4月2日。

エイプリルフールにつく嘘も無く

2日に日記を書くにはわけがあります。

 

 

 

4月2日で~

なんとぉ~

 

 

ツララが鳥羽水族館に来て

1年が経ちました~(*^_^*)!!!!!

 

そうなんです。

今日で鳥羽に来て1年経ったツララちゃん。

 

この1年は本当に色々ありました。

 

まずは鳥羽の暑い夏を

乗り切ってくれて良かった。本当に。

北海道も夏は暑いと思います。

ですが、鳥羽水族館のセイウチ水槽は

屋外なのでとても心配していましたが

体調を崩すことも無くここまでこれました!

 

鳥羽に来て1年…

色んなことをして遊んだね!

 

そんな鳥羽の女「ツララ」の

軌跡を写真でお送りします。←ちょっと長いよ。笑

 

 

 

トラックの中のツララ。

 

宙を舞うツララ。笑

 

到着ツララ。長旅ご苦労様。

 

鳥羽の水槽はどうかな?

 

なかなか気持ちぃわぁ。川の神様ツララ。

 

おもちゃが大好きツララ。

 

時には悩むこともあるよね。セイウチだもの。

 

奈良の大仏ララ。

 

我慢するわツララ。

 

可愛い子には何も言うな。笑

 

修行ツララ。

 

ふかふかのツララもいいね!

 

 

この1年間、色んなツララを見てきましたが

これからも元気でまったりなツララと

毎日楽しく遊べたら良いなと思います!

 

ポウクウと違って動きがまったりなツララに

これからもたくさん癒やされて下さいね。

ポウちゃんとももっと仲良くなれるように

僕たち担当者も頑張るからね!

 

ではでは皆さん

少し大人になったツララに

会いに来て下さいね~~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

p.s今日のツララ。

 

おっきくなったなぁ~。

体重もキバの長さもこの1年で成長しました!

 

イエェェ~~イ!←ここで。笑