不明種ウミシダからスイクチムシが見つかりました

2017年3月 12日(日曜日) 筆者 もりたき

スイクチムシとは

・主にウミシダに外部寄生するゴカイやミミズなどと同じ環形動物の一員(内部寄生種もいる)。ダイバーには意外と人気がある。

・170種ほどいるほとんどがウミユリ類(ウミシダ類)に寄生するが、ごく一部の種がヒトデ、クモヒトデ類からも報告されている。

・熊野灘の漸深帯のヒトデに内部寄生するスイクチムシ(未記載種)を見つけてから、もりたきの中にスイクチムシの風が吹きはじめている…

 

さて。

三重県志摩半島のイセエビ刺網でこんなウミシダが採集できます。

全く珍しい種類ではありませんが、種類は不明。20年以上前にウミシダ分類の大家である研究者が来館して、水族館のウミシダを調査されたことがありましたが、その時もこのウミシダの正体はわからず…(クシウミシダ科の一種であることは判明しましたが)

以来ほったらかしでしたが、最近、良い検索表が手に入ったので、同定に再チャレンジしてみることにしました(ちょうど展示個体が死亡したのでそれを使いました)

…ところが、やはりよくわからない。

 

集中力が途切れた頃。

ふと、ウミシダを裏返してみたら…(口側)おぉ!

スイクチムシじゃないですか!

おそらくこれは内部寄生種。体の中から出てきたようです。

 

体の後ろ1/4ほどだけ黄色を帯びて、それ以外は ほぼ全身がオレンジ色。

海に沈む夕陽のようなサンセットオレンジです。

なかなかの美スイクチムシですね。

 

背側から見るとこんな感じ(画面の上がスイクチムシの前方になります)

このスイクチムシは口が背側にあります(前方にある突起が口)

腹側

アルコールで固定すると、5対の いぼ足とその外側に並ぶ側器官(吸盤)がよくわかります。

予期しないスイクチムシの出現でウミシダの同定はうやむやになってしまいましたが、あらためてチャレンジします。

スイクチムシは宿主特異性が高い(決まった相手に寄生する)と考えられているので、ウミシダ共々その正体が気になります。

こちらもまた宿題ということで…

 

追記:どうやらこのウミシダはコアシウミシダ属のようです。オガサワラコアシウミシダ Comanthus delicatus かな?

【飼育研究部 森滝丈也】

葉っぱノトリア

2017年3月 11日(土曜日) 筆者 もりたき

ノトリア(Nothria)とは

・貝殻などを付着させた筒状の巣をつくる底在ベントスの多毛類で、世界で40種類ほどが知られている。

・先月、熊野灘 水深300mで採集したノトリアは未記載種である可能性が高いことが明らかになった。また、枯れ葉を使って営巣するという本種特有の生態は興味深い。

・今、もりたきが夢中になっているが、同僚からは全く賛同が得られていない。先日、セールスに来た業者から「最近の飼育日記、もりたきさんの更新頻度すごいですね!とても面白いけれど、そろそろついて行けなくなりそうな…(笑)特にあのゴカイみたいなのとか…」と言われる。

 

ついてきて下さい!(笑)

巣作りの様子を観察しようと枯れ葉を投入してみました。

翌朝見ると、丸くかじり取ろうとしていました。

撮影のため、枯れ葉を少し移動させたら巣作りを中断してしまいました…

そのまま放置しておき、午後に確認すると、今度は朝かじっていた反対側を丸く切り取って巣材に使っていました。

この顎で器用に切り取ります。

切り取った枯れ葉の小片を引き込んで巣材にします。

この動きが実にかわいらしい。

短いいぼ足をむにむに動かすところなど萌えポイントなのですが(笑)

拡大して見ないとわからないだろうなぁ…

ノトリアの仲間は、普段は巣の中に隠れていることがほとんどですが、本種は崩れやすい枯れ葉を巣材に使うためか頻繁に巣材交換をするようで、動く姿が確認しやすいような気がします。

興味ある方はじっくり観察してみて下さい。

【飼育研究部 森滝丈也】

ミズムシに目ができた

2017年3月 10日(金曜日) 筆者 もりたき

熊野灘の水深300mで採集したミズムシの仲間(種類不明、調査中)

ニチリンヒトデと共生しているのかいつもヒトデの体表から見つかります。

今回採集した個体はちょうど抱卵中でした。

こちらは3月3日の様子。うっすらと黄色に見えるのが卵です。

このミズムシは体長5mmほどと小さく、ちょこちょこと動き回るので観察がなかなか難しいのですが、昨日(3/9)の朝に見ると、卵の発生は順調に進んでいるようで発眼(目ができること)が確認できました!

矢印の先、目があるのがわかるでしょうか?今見えているのは2個体だけですね。

ミズムシの仲間もオオグソクムシやダンゴムシと同じように、孵化後しばらくは母親が哺育嚢で幼生を保育します。

このまま順調に育って、何匹の幼生がどんな風に母親の保育嚢から出てくるのか…今から楽しみです。

【飼育研究部 森滝丈也】

シーグラス水槽のタナイス(アプセウデス類)

2017年3月 9日(木曜日) 筆者 もりたき

鳥羽水族館は飼育生物種類数日本一をうたっているので、メジャーなものからマイナーものまで色々と飼育しています。

私が担当するものはマイナー生物がほとんどで、この日記で紹介しないと誰にも気付いてもらえない(職員ですら!)生物もいくつか。

 

今回紹介する、シーグラス水槽のタナイスの仲間(おそらくアプセウデス類)もそう。

タナイスとはフクロエビ上目タナイス目に含まれる動物で、オオグソクムシ(等脚目)やヨコエビ(端脚目)の仲間とは上目のレベルで近縁です(タナイスの仲間は大きく分けてタナイス類とアプセウデス類に大きく分けられます)

7年前にその存在を確認して以来、この水槽では安定していつでも見る事ができるのですが、全長数mmしかなく、おまけに砂の中に潜っているので誰も気付かれません。

よく見ると、とても可愛い姿をしているんですけどね。

 

シーグラス水槽の底砂に巣穴を作って棲息しています(矢印)

水質浄化にも役立っているのかも。

 

この仲間は第1胸脚が鋏になっていて、グループによってその形態が異なるのですが、このシーグラス水槽にいるアプセウデスのハサミ脚は細長く、これを使ってシーグラスの組織をちまちまつまんで口に運んでいます。

その姿が可愛い!動画撮影しましたが思わず見入ってしまいました。

水槽のガラスに貼り付くように撮影していましたが、集中して撮影していたので背後のジュゴンを見ているお客様からは不審な職員に見えたかもしれません…(笑)

皆さんも興味があれば、こんなアプセウデスを探してみて下さい。

【飼育研究部 森滝丈也】

メナガグソクムシではなく…

2017年3月 8日(水曜日) 筆者 もりたき

先日、熊野灘水深300mでメナガグソクムシが採集できました!と紹介した、このコ…(現在オオグソクムシ水槽で飼育中)

左右の眼が癒合しているので「メナガグソクムシ」かと思ったのですが…よくよく見ると腹尾節の後端が尖っていません。

これはメナガグソクムシではありませんね。

ちなみに本当のメナガグソクムシはこちら。尖っています。

鳥羽湾で採集(2015. 4月)

熊野灘のコも、グソクムシの仲間(グソクムシ科)であるのは間違いありませんが、メナガグソクムシとは属が異なるようです。

今のところ種名は不明なので、これから調べます~。

この仲間はどれもよく似ているので見分けるのはなかなか難しい。けど面白いですね。

 

それではリクエストがあったので、顏アップをどうぞ(笑)

調べ直すと、これと同じグソクムシは去年も同じ時期に1個体が採集されていて、へんな生きもの研究所で展示していました。

【飼育研究部 森滝丈也】

Nothria sp.

2017年3月 7日(火曜日) 筆者 もりたき

前回の熊野灘沖合底引き網採集で水深300mから採集したゴカイの仲間 ノトリア(Nothria)

正面顔はこちら。

7本の触手がキュート!(5本の感触手と2本の頭触手)

そして、どうやら このノトリアはまだ名前が付けられていない未記載種であることがほぼほぼ確実になってきました。

これは面白くなってきましたよ!

 

また、既にお伝えしていますが、本種は深海性であるにも関わらず、枯れ葉を使って営巣する習性を持つようです(筒状の巣を作ります)

これは他のノトリアでは知られていない 際だった特徴のようです。

実に興味深い。

採集場所は雨の多い尾鷲地方の沖合なので、山から流されてきた枯れ葉や小枝が堆積しているのでしょうか。

 

さて。

研究者さんからの要望もあったので、本日、見回りついでに巣作りの様子を動画撮影できないか試験をしてみました。

筒状の巣からノトリアを取り出して、枯れ葉と一緒にしておくと…

しばらく動き回ったあと、期せずして再び元の巣へ戻っていきました。

帰巣本能があるのでしょうか。

 

でも、営巣行動を観察しやすいように、あらかじめ巣をカットして短くしておいたので、周囲の枯れ葉を使って営巣する様子を観察することができました。

簡易なものでしたが、動画の撮影もとりあえず成功。

短い疣足(いぼあし)を使って巣作りする姿は萌えますね(枯れ葉の小片を抱えています)

(この画像を同僚に見せても賛同は得られませんでしたが…)

 

また、巣から取り出した時に観察すると、体内に卵がいっぱい!メスだったのですね。

そんなNothria sp.

まだまだ魅力は伝えきれていませんが、実物の動きを見たらきっと好きになるはず!

皆さんも好きになって下さい(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】

 

Your name。

2017年3月 6日(月曜日) 筆者 ともちゃん

 

どうも皆さんこんにちは。

しもやけが落ち着いたと思ったら

次は花粉にやられてます

ともちゃんです。泣

 

くしゃみも鼻水も

ショーの時には止まります。笑

 

 

 

さてさて、今年も始まったと思ったら

いつの間にか3月になってました。

無事にセイウチたちのひな祭りも終わり

ホッと、一息つきたい所なんですが

4月もあります!!

 

何があるかはまだ内緒です。笑

 

まぁでも無事にひな祭りができましたので

少し写真も載せますね(*^_^*)

 

まずは主役のクウ雛様!!

あ~かわいい。扇子壊さないでね。笑

 

 

続いて、ポ内裏様。笑

あ~面白い!!めっちゃ似合ってます!!

主役より目立ってます!!

 

2頭で並ぶとこんな感じ!きれいに着飾れました!!

 

こんな写真も撮れた!!逆ハーレム!!

 

 

1月は「しめ縄」

2月は「節分(鬼)」

3月は「ひな祭り」ときました。

さて4月は何でしょうねー!

皆さん、楽しみにしててくださーい(*^_^*)!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

p.sこの前、約1年ぶりに

海獣の王国にいるトドのキンタ君の

餌やりをさせてもらいました!!

 

 

と:キンタ~!久しぶりやな~!!覚えとるか!?

 

ですよね~。笑

 

僕が入社してすぐの頃は毎日会ってたんです(^_^;)

最近は、クウの妊娠・出産もあって

セイウチ担当者も忙しくなかなか行けてなかったのですが

久しぶりにこの場所から見たキンタ君は

相変わらず大きかったです!

また来るからね~!!!

 

 

 

 

アシュラ男爵伊勢海老

2017年3月 5日(日曜日) 筆者 つじ

先日、2色に分かれたイセエビが捕れたと言うことで、

遙々、御浜町まで受け取りに行ってきました。

左右で色分かれしたものは、モザイク雌雄などと呼ばれることがあります。

簡単に言うと体の右と左で雌雄が違うということです。

昆虫の仲間ではこういった例があるのですが、果たしてイセエビではどうなのでしょうか?

ドキドキしながらご対面してきました。

おぉ。なるほどこれは真っ二つに色が分かれているではありませんか。

そしてまた気になるのが、左右で性が違うのか?という点です。

左右の矢印で示してあるのはオスの生殖器です。

はい。左右ともオスの生殖器があります。ということはノーマルのオスです(意味深w)

なぜこのような配色になったのかはわかりませんが、あまり報告例のない珍しい個体ですので、へんな生きもの研究所にて展示しております。

なお、この個体を持って帰って諸先輩方にお見せすると、アシュラ男爵や、とつぶやいていました。

僕は何のことかさっぱり分かりませんでしたが、いわゆるこれがジェネレーションギャップというヤツらしいです。

ちなみにへんな生きもの研究所のラベルは

っとさせていただきましたので、ラベルの受け売りそのままに、若いみんなはスマホでググってくれぃ。

#アシュラ男爵伊勢海老

拡散希望です。

 

飼育研究部 辻晴仁

 

 

ようやく再会しました…

2017年3月 5日(日曜日) 筆者 もりたき

昨日の夕方のこと。

へんな生きもの研究所で回収したウデナガゴカクヒトデから何かが飛び出していることに気が付きました(正体はすぐにわかりました)

おぉ!

興奮MAX!(笑)シダムシです!

と、ここでまずはシダムシのおさらいを…

シダムシはヒトデの体腔に寄生する甲殻類で、日本から正式に報告されているのは3種類ですが、その他に未記載種が4種類ほど知られています。

これまでに熊野灘の漸深帯からは報告はありませんが、一昨年、3種の未記載種シダムシを見つけました(今、研究者と一緒に研究を進めています)中でもウデナガゴカクヒトデのシダムシは280匹以上のヒトデを調べてもたった4匹しか見つからなかったレア種です。

今シーズンも調査を継続していますが、既に調べたウデナガゴカクヒトデは119匹…でもまだ見つかっていません。先シーズンのデータに照らし合わせれば、もうそろそろ見つかってもいいはずなのですが…

そんなウデナガゴカクヒトデのシダムシに…ついに、ついに再会できたのです。もうこれは興奮するのもしょうがない(笑)

ヒトデの体から慎重に取り出します。オレンジ色のものがシダムシ。

今シーズン通算126匹のヒトデを確認して、久しぶりのご対面です!

比較のために、過去の4個体の画像も紹介します。

寄生状態や成長の過程でかなり印象が異なりますね。

成熟して卵を持つようになると赤く見えます(卵が赤いので)

【飼育研究部 森滝丈也】

落ち葉で巣づくり

2017年3月 4日(土曜日) 筆者 もりたき

先日紹介した落ち葉で巣づくりするNothriaの仲間。

水深300m付近に生息しているのに使う巣材は落ち葉や小枝そのまんま。

一見すると森の林床部で生活する生物の雰囲気(笑)

これが深海の生物だとは…不思議。

今、研究者に調べてもらっていますが、どうやらこのNothriaは少なくとも日本では初確認となる種類と考えて間違いないようです!(驚)

もしかしたら、世界でも…いやいや、これは期待が高まりますね。

現在、へんな生きもの研究所で1個体だけですが飼育中です。

 

水槽に落ち葉を入れたらどうするのか?昨日、ふと気になったので、餌用のイサザアミの蓄養プールに沈んでいた落ち葉を1枚拾い、Nothriaの目の前に置いてみました。

今朝見ると…

おぉ!落ち葉を小さくちぎって巣材にしているではないですか!(貴重な正面顔)

せっせと巣づくりする仕草が想像を超えて可愛かったです(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】