成長するジクネカイメン

2017年8月 18日(金曜日) 筆者 もりたき

前回の続き…

今年の7月から週に1回ほど、ダイオウグソクムシ水槽からアパート水槽へ冷えた人工海水を補給しているとお伝えしましたが、補給し始めた直後からアパート水槽で飼育中のカイメンの成長にはっきりとした変化が現れはじめました。

これまでに何度か紹介していますが、このカイメンは2016年の春に熊野灘の水深250-300mで採集されたもので、水族館向かいの菅島にある名古屋大学の臨海実験所所属のカイメンの研究者さんに調べていただいて、ジクネカイメン属の一種(Rhizaxinella sp)であると判明しています(種類は特定できていません)

日本から知られている他の種類はこのような枝分かれはしていないそうなので、まだ知られていない種類である可能性もありそうです。

採集された直後は、こんな姿でした。

ご覧のように、入館直後は柔らかなベルベットのような質感でしたが、日を追うごとに徐々に痩せてきて、いつしかツルッとした質感になっていきました。

去年の冬に一時的に状態は良くなったものの、再び痩せ始め、今年の春先はこのまま死んでしまうのではないかと思うほどでした。

それが、ダイオウグソクムシの飼育水を補給し始めた直後から、徐々に復活しはじめたのです。

 

この画像の時点で既に復活の兆しが確認出来ます。

さらに3週間経過…

日々変化を実感できるほど、どんどん成長しています!

それまでのツルッとした印象からベルベットのような柔らかな表面へと変化し、矢印で示したような大孔も形成されてきました。

何がこの変化を引き起こしたのか、まだはっきりしませんが(人工海水の成分?水温差?)確実に成長を続けています。

ジクネカイメンの成長はゆっくりですが確実に目に見えて姿が変化するので、毎日の観察が楽しい!

ぜひ注目して下さい。

 

そして、成長観察と並行して、近いうちにこのカイメンの種類も特定しなければいけませんね。

未知のカイメンかもしれないと思うと、興奮します(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】

へんな生きもの研究所 換水・夏バージョン

2017年8月 17日(木曜日) 筆者 もりたき

当館のダイオウグソクムシは人工海水で飼育しています。

塩のような「海水の素」を水道水で溶かして人工海水をつくるわけですが、夏場は水道水が25℃近くあって熱すぎる…

これを飼育温度の7.0℃まで冷やさなければいけません。

これまでは冷凍庫まで運んで冷やしたりしていましたが、水量が多く、なかなか大変。

ふと思いつきました。

氷を入れて作ればいいんじゃないかと。

案の定、バケツ4杯の氷と水道水を混ぜ合わせて人工海水を作れば、すぐに適温の人工海水(150ℓ)が完成!

あぁ、どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのだろう(笑)

できあがった人工換水は150ℓ程度なので手っ取り早くバケツで水槽に汲み入れます。

こういう感じに換水作業が手軽に出来るようになったこともあり、この夏は週に1回、全水量の1/8ほどをこまめに換水するようになりました。

 

しかし、実際のところダイオウグソクムシの水質はそれほど悪くないので、実はここまで頻繁に水を換える必要はありません。

では、なぜ頻繁に換水しているのかと言うと…

それは、週に1回、オウグソクムシの飼育水を隣の水槽に分配しているからなのです。

分配先である隣の水槽は水温10℃ほど。

普段チョロチョロと出ている補給水は水温が高すぎるため、夏場は水槽の補給水は完全に止めています。

そこで、週に1回、ダイオウグソクムシの飼育水を分配する必要があるのです(高低差を利用してホースで海水を送っています)

このように、冷えた海水が貴重となる夏場は、無駄が無いよう使い回しています。

 

ところが、どうやらこの換水方法、ある生物に思いがけない効果を生み出したようなのです。

その効果とは…?

次回に続く

【飼育研究部 森滝丈也】

最近、嬉しいことが多いんです。

2017年8月 15日(火曜日) 筆者 ともちゃん

 

どうも、皆さんお元気ですか!?

お盆休みが今日で最後の方も多いんではないでしょうか。

 

夏休みの宿題を友達には、もう終わったで!と

前半に言いつつも後半にやるタイプです。

ともちゃんです。

最近、tw○tterの手軽さに圧倒され

飼育日記をさぼり気味なともちゃんです。

 

今日もた~くさんのお客様が

水族館に来て頂いてセイウチショーも

大変盛り上がりました!感謝です!!

暑かったり雨が降ったりなお盆でしたが

セイウチたちは元気にやっております。

 

これまでは夏の暑い日中でも陸場で

寝てることが多かった鳥羽のセイウチたち。

セイウチは寒いところに住んでいるので

暑いのは苦手なはずなんですが

お昼寝はほとんど日が照ってる陸場なんです。笑

でも今年は、ポウクウが陸場で日中寝ることが

少ないように感じます。

ツララは寝てますけど。笑

 

よくお昼寝中にお邪魔してます。

 

クウちゃんは暑いとき、ほんとに暑そうな顔します。

 

「しもしも~?」なクウちゃん。

後ろでポウちゃんが操られてます。

 

ポウちゃんは麦わら帽子が似合います。

 

セイウチたちはほんとに表情豊かで

毎日見ていても飽きません。

僕たち担当者はセイウチのトレーニングをするときは

ほとんどの場合笑いながらやってます。

毎日毎日セイウチたちが色んな表情を見せてくれ

それが面白いんです!

 

夏も今が一番暑いとき。

そんなときこそ「笑って」

暑い夏を乗り切りましょう!!

世の中のお父さんも明日からまた

お仕事頑張ってくださいね~!

 

 

 

p.s今日の夕方

「一緒に写真撮ってもらっていいですか?」と

お客様に声をかけられました。

よく見るとそのお客様はお昼のセイウチショーで

輪投げをしてくれたお姉さんでした!!

「ともちゃんさんですか?」

「いつもtwitter見てます!」と言ってくれたお姉さん。

初めての経験であたふたしましたが

お姉さんの言葉でまた頑張れそうです(*^_^*)

ありがとうございました!!!!

 

 

アカヒトデのシダムシの解剖

2017年8月 15日(火曜日) 筆者 もりたき

またまたシダムシの話題です。

シダムシとは…ヒトデの体腔中に寄生する寄生性の節足動物で、広い意味でエビやカニと同じ仲間(なかなかそうは見えませんが)

先日、へんな生きもの研究所で飼育中のアカヒトデ体腔から3匹のシダムシを採集したとお伝えしました(このシダムシはまだ正式な学名はありません)

今、シダムシ研究のため時間を見つけて観察を続けています。

 

シダムシの枝分かれした外套は柔らかく、外から体節構造はわかりませんが、実は節足動物という確かな証拠があります。

外套の一部に体節が残る部位があるのです。

中央から伸びるミドルピースの先端に小さな口器と第1触角があるので。

 

昨日、その中の1匹の解剖を行いました。

腹開きで処置しなければいけないところ、背開きにしてしまいましたが…

これが第1触角です(これは左側の触角)大きさは0.5mm程。

第1触角はシダムシの種類を特定するために重要なポイントになります。これを見ると確かにシダムシは節足動物だということがわかります。

こちらは口丘。

これを見ても何が何やら、でしょうが、ひとまず備忘録としてアップさせていただきました。

【飼育研究部 森滝丈也】

テヅルモヅルの摂餌

2017年8月 14日(月曜日) 筆者 もりたき

へんな生きもの研究所でセノテヅルモヅルに餌を与えていると、口はどこにあるんですか?と尋ねられることがよくあります。

口はこちら(矢印)

ちなみにこの仲間は肛門はありません。

意外と大きな餌も腕で捕まえて食べてしまいます。オキアミをつかませると腕を巻き込んで(丸で囲った箇所)、口に…

押し込むように丸飲み…。

この動き、見ているだけで興奮します(笑)

腕がごちゃごちゃで観察しにくいので、腕の分岐が少ない別個体で確認すると、こんな感じ。

メダカぐらいのサイズであれば丸飲み可能です。

【飼育研究部 森滝丈也】 

モヅ子の近況

2017年8月 13日(日曜日) 筆者 もりたき

へんな生きもの研究所では水族館近くの菅島沖で採集したセノテヅルモヅルを展示しています。このモヅル達は以前から興味深い行動が確認されています。

それは大きな成体に小型の幼若個体が付着する行動。

本当の親ではなくても成体であれば(♂♀関係なく)幼若個体は取り付き、取り付いた成体の口に腕を差し込むなどして餌を横取りしているように見えます(私はこの行動を「すねかじり行動」と呼んでいます)

成体に取り付いているのは、この飼育日記でもおなじみの「モヅ子ちゃん」

モヅ子は取り付く相手(成体)が死ねば別の個体に乗り換え、この「すねかじり行動」を実に5年近く継続中(2012年秋~)

こちらは3年前のモヅ子。

さて。

そんなモヅ子ですが、ここ数日は取り付いていたテヅルモヅルから離れ、排水パイプの網(フタ)に取り付いていました。

そろそろ独り立ちでしょうか?

そこで今日の夕方、試しに網から取り外してみました。

(ちなみに、こちらは1年前の姿。こうやって見比べると腕が伸びたのがわかりますね)

そして、そのまま水槽の底に放置してみました。

すると…すぐにモヅ子は自力で移動して大きな個体にたどり着くと、そのままその個体に取り付きました。

どうやら、モヅ子の「すねかじり行動」はまだまだ継続中のようです。

独り立ちにはもう少し時間がかかりそうです。

【飼育研究部 森滝丈也】

サメハダテナガダコを展示しました

2017年8月 12日(土曜日) 筆者 もりたき

先日、鳥羽でマダコ漁をしている方からサメハダテナガダコを頂きました。

サメハダテナガダコは南方系の種類で、鳥羽周辺では水温の高くなる夏期にたまに採集されます。

さっそく、へんな生きもの研究所で展示開始。

このサメハダテナガダコはマダコなどに比べると、体が柔らかく、腕の力も弱いようです。

そのため、水中から外に腕を伸ばすことはなく(多分…)水槽の外に逃げ出すことはありません(…経験則です)

そのため、水槽のフタのすき間を厳重に埋めなくても、逃げ出さない…はず。

マダコだと完全アウトですけどね。

水族館には時々入館していましたが、これまでは適当な展示水槽がなかったため展示を見送ってきたので、飼育日記で紹介するのも今回が初めてです。

サメハダテナガダコは、青白く光る体の斑紋が特徴です。

 

…そう言えば、へんな生きもの研究所ではもう1種類タコを飼育していますが、こちらも紹介していませんでした。

合わせて紹介します。それはこちらのマメダコ。

 

体長10cmほどの小型種で、日本最小種の1つだとされています。

3月に入館したので、飼育開始してそろそろ5ヶ月。

この個体は近くの市場で食用として数十匹がまとめて売られていたうちの1匹(タコの寄生虫について共同研究をおこなっている大阪大学の先生が購入、元気な個体を展示用としていただきました)

現在はこの個体だけで、普段は水槽の隅でじっとしていることがほとんどですが、他の水族館で見かけることはあまりない種類だと思います。

へんな生きもの研究所に来られたら、ぜひ2種のタコをご覧下さい。

【飼育研究部 森滝丈也】

オオマルモンダコ

2017年8月 11日(金曜日) 筆者 もりたき

只今、絶賛開催中の夏イベント「超危険生物水族館」

本日は週に3回ある給餌日でした。

先日、展示再開となったオオマルモンダコは今日が初めての餌。

 

食べるかなぁ…と、キビナゴ(魚)をちぎって与えてみると、自分で拾ってスムーズに食べ始めました。

おぉ!なかなか状態良さそうです。

興奮しているのか、体の青い模様がはっきりと浮かび上がって、なかなか美しい!

オオマルモンダコは小型のタコですが、有毒種で海外では人の死亡例もあるとか。

この青い模様は警戒色でしょうね。

 

夕方、確認すると与えた量の半分ほどを食べていました。

オオマルモンダコの腹部は三角帽のような円錐形ですが、よく見るとその先端は平らな突起があるようです。初めて知りました(矢印)

ちなみにオオマルモンダコと近い仲間のヒョウモンダコ(三重県産)はこんな姿でした(このヒョウモンダコは現在、展示はしていません)

興奮すると、オオマルモンダコよりも外套の突起が目立つようです。

【飼育研究部 森滝丈也】

無事に。。。

2017年8月 9日(水曜日) 筆者 いそぴー

 

 

こんにちは!いそぴーです。

 

 

 

さて、先日飼育日記で紹介しましたミナミアフリカオットセイの「サン」

ナイトショーデビュー出来るのか!?という所で終わってしまいましたが

 

無事にショーデビューすることが出来ました!!!拍手~パチパチパチ~☆

ハプニングもあり笑いありでしたが、さすがはサンちゃん!頑張ってくれました!泣

 

 

真ん中にいるのが「サン」です。両端のリコ、スーに比べて小柄な体ですが

動きは1番素早くコミカルでお客様だけではなく、飼育係の私たちまで楽しませてくれます。笑

 

 

そんな、アシカたちのナイトショーですが最終日はまさかの台風5号直撃の為、中止に。。。

よっしゃー!最終日!バシッといくぞ!と朝から気合い入れていたので少し拍子抜けでしたが。笑

 

 

ナイトが終わって、次の日8月8日からは昼間のショーでも「サン」出演始まりました!

 

トレーニングの時と、ショーの時では少し動きが変わって毎回何かとプチハプニングがありますが

ぜひ元気いっぱいなアシカショーを見に来て下さいね!

 

夏休みもそろそろ後半戦!

暑いですが、みなさん頑張りましょ~!

 

 

鏡餅ウニの行動観察②

2017年8月 7日(月曜日) 筆者 もりたき

前回の続きです。

熊野灘の水深300m付近に生息する「鏡餅ウニ(仮称)」

上下に重なる奇妙な習性を解明しようと、マーキングしなくても簡単に見分けがつく3組を隔離飼育して観察中。

 

果たして、この1週間で何か変化が見られたのでしょうか?

途中で離れるペアが出現するかと思ったのですが、予想に反して、何と、この7日間全てのペアがずっと同じ相手と重なったままでした。

ここまで結びつきが強かったとは…驚きです。

果たして、この先何日間「鏡餅」が継続するのでしょうか…?

 

ところで、このウニは小型個体が大型個体の排泄物を食べるために鏡餅になるのでは?と前回の飼育日記でお伝えしました。

このウニは海底の沈木を餌にしているので、小型個体は沈木を食べる機能が未発達なために、大型個体の上に乗っかってその排泄物を食べるのではなかろうかと…

仮説の検証はまだできていませんが、あらためて観察すると、このウニはかなり多量の糞(未消化な木片?)を排泄していることがわかります(矢印)

ちなみに、排泄を確認したのは大型個体だけです(小型個体は沈木に直接触れていないので当然なのかも知れません)

 

1週間分の糞を集めてみると、ほぼ小さじ1杯ぶん(5cc)もありました。

直径わずか1cm程度のウニ3個体が1週間でこれだけの量を排便するとは、驚きです。

【飼育研究部 森滝丈也】