ヤドカリスナギンチャクが作る“偽の貝殻”

2021年12月 7日(火曜日) 筆者 もりたき

2019年に新種記載されたヤドカリスナギンチャク

深海でヤドカリと共生するスナギンチャクの仲間です。その存在自体は以前から知られており、和名も付いていましたが、あまり採集されないこともあって、分類学的研究が進んでいなかったようです。

それが、数年前にこのスナギンチャクをネタに書いた飼育日記を見た研究者から直接連絡があり、当館の標本を基に新種記載されたのです。

飼育日記の書き手としたら、非常に胸アツエピソードです(現在、生体は飼育していません)。

さて、このスナギンチャクはヤドカリが背負う巻貝の上に付着すると徐々に貝殻を溶かしながら成長していき、最終的にはヤドカリは直接スナギンチャクだけを覆うという奇妙な生態を持ちます。完全に貝殻は溶けてしまうようですが、実際、中身はどうなっているのか、見たことはありませんでした…

実は、最近までへんな生きもの研究所でヤドカリスナギンチャクを飼育していました。宿主のヤドカリがいなくなったあとも、展示を続けていたものですが、やはりヤドカリと一緒でなければ長く生存できなかったようで…、徐々に縮んで(溶けて)いきました。

そして残ったのは…こんな偽物の貝殻!

おそらくスナギンチャクが作り出したモノだと思われます。薄い皮のようでふにゃふにゃ。スナギンチャクもこんな偽物の貝殻を作りだすのか…意外な発見でした。

【飼育研究部 森滝丈也】