オウムガイの頭巾

2021年3月 13日(土曜日) 筆者 もりたき

先日、当館で孵化したオオベソオウムガイM63の身体計測をおこないました。孵化直後より殻の外周が76㎜成長していて、なかなか順調。良いペースです。

220日齢

さて、同じ日にお客様からオウムガイ類の頭巾(フード)について少しマニアックな質問をいただきました。

軟体部を守るフタ(あるいは盾)の役目を持つ頭巾は左右の一部が溝で区切られて3つのパーツで構成されているように見えるが、この左右の部分は動くのか?という質問でした。

M63の頭巾

オオベソオウムガイの頭巾(成体)

もし、この部分が内側に動いて全体の幅が変化するならしっかりとフタできるのではないかと思われたそうですが、残念ながら(?)この左右のパーツは中央の頭巾としっかり癒合していて動くことはありません。

実は、この頭巾は腕(触手)と由来が同じです。受精後3ヶ月頃のオウムガイの胚の側面には将来、腕になる突起(原基)が5対あり、このうち前の3対が頭巾に変化します。

1対目と2対目の腕の原基は受精後半年ほどで胚の前端にある頭巾の原基と癒合して大きな頭巾に変化しますが、3対目は完全に癒合しないままなので、頭巾に溝が残るわけです(ちなみに残りの4対目と5対目は触手に変化します)。

この頭巾は他の頭足類には見られず、頭足類の腕の進化を考える上でも興味深い器官です。

【飼育研究部 森滝丈也】