オウムガイの近況

2017年8月 23日(水曜日) 筆者 もりたき

鳥羽水族館ではこれまでにオウムガイ162匹、オオベソオウムガイ62匹の孵化に成功していますが、最近は繁殖は低調気味…

産卵はしていますが、どうも受精していないような印象。

 

そこであらためて状況を確認してみました。

現在飼育中のオウムガイは16匹いますが、性成熟に達したメス6匹に対してオスが3匹(それ以外は未成熟個体)

ひとまず、ひっくり返してオスのペニスを確認してみました(短時間であれば水から出しても大丈夫)

中はこういう感じ(この画像は今回撮影したものではありません)

飼育日数と殻の模様から判別すると3匹とも性成熟に達しているはずですが、どの個体のペニスも貧弱、充填された精子(精莢)も見あたりません。

水族館ではオウムガイは業者を通じて購入するケースが多く、その多くは未成熟個体です。もしかしたら、水族館で育つとオウムガイは繁殖能力が乏しい「草食系(?)」になるのかもしれません。

そうだとしたら、これは繁殖のためにクリアしなければいけない問題だなぁ。

 

次に隣のスペースで飼育中のオオベソオウムガイもチェックしてみました(オオベソオウムガイはオスのみ4匹を飼育中)

こちらの個体は自然の海で性成熟まで育ち、水族館に搬入されています。

中を確認すると…

おぉ!こちらのペニスは大きく、精莢が充填されていることがよくわかります。

ふと、もしかしたら…と思い、このペニスから精莢が取り出せるかと試してみました(死んだ個体のペニスを軽くしごくと精莢が簡単に採取できることは経験的に知っていました)

すると、思ったより簡単に精莢が取り出せました。

生きた個体から精莢を取り出したのは、これが初めてです。

精莢は20-30cmほどの長さの細長い莢で、この中に精子が入っています。

 

オウムガイ類は最近、規制が厳しくなり個体の入手が難しくなってきています。

性成熟に達した健康な個体をどんどん搬入できれば、繁殖も比較的容易なのでしょうが、これからは限られた個体で繁殖を挑戦していかなければいけないでしょう。

水槽内で状態良くオウムガイを育てて、いつか人工授精・繁殖にも挑戦できたら…と夢想しています。

まだまだ実現化は難しいでしょうが、いつの日か。

【飼育研究部 森滝丈也】