それは何かと問われても

昨日の閉館後のこと。

数日前から気になっていた標本を検鏡しようとイソイソと顕微鏡前に座ると、背後から「何を見るんですか?」と興味津々の声が。

声をかけてきたのは、今、水族館に実習に来ている専門学校の学生さん(女性)でした。

ちなみに声をかけられたのはこれが初めて。

 

…え、説明が難しいなぁ。ロクソソマって言ってね、いや、内肛動物という生きものなんだけど。

内側の「内」に肛門の「肛」と書く、とてもマイナーな生物なんだけどね。

あぁ、知らないだろうなぁ…水族館の飼育日記って読んだことない?そっか読んだこと無いか。う~ん。

 

だいたい、ロクソソマの説明自体難しいけれど、今、目の前にある標本はツノガイの貝殻のなかに棲むホシムシの吻で、この先端に付着している小さな柄の短いロクソソマを観察しようとしているのだからいっそう説明に困る。

もう何と説明すればよいのか…(笑)

簡単な説明で終えようかとも思いましたが、でも、思いの外、その実習生は興味津々…

それで、熊野灘の水深300mで採集したツノガイと、その中に棲むホシムシという生物の説明して、このホシムシには陥入吻というものがあって丸めた靴下が反転させるような感じで伸びてくるんだけど、この先端にこのロクソソマが付着しているんだよね…。おまけにこのツノガイには正体不明の黄色い球が付着していて…などと解説したわけです。

 

以前撮影した、陥入吻を伸ばすホシムシの姿も動画で見てもらいました。

吻が伸びきる瞬間、先端付近にウジャッと付着するロクソソマが現れる様子、これが、意外と好反応。

その後も顕微鏡を見ながらホシムシの陥入吻を解剖していると、見えますか?見せてもらって良いですか?と積極的な実習生。

え!こんなに小さいんですか!(0.16mm)といちいち反応が面白く、こちらもついつい解説に熱が入ります。

ロクソソマは長い柄とカップのような萼部があって、触手が生えていてね。

柄の長い種類も多いけど、今見ているロクソソマは極端に柄が短い種類なんだよ…とか。

専門学校ではこんな生物なんて勉強しないだろうしね。

あ、そんなに熱心にメモしなくても…(笑)

でも、若い人が興味津々にメモ取る姿は良いもんですね。

 

こんな姿ですか?と実習ノートの片隅に書いてくれた内肛動物のイラスト。

うん、良い感じ。

また一人、内肛動物(ロクソソマ)が好きが増えました。…いや、好きになったかは微妙ですが。

好きになって下さい(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】