再びのヒゲウミシダのスイクチムシ

2017年4月 7日(金曜日) 筆者 もりたき

北方系のヒゲウミシダは環北極圏を中心に分布する世界最大のウミシダです。腕長は少なくとも20cm以上なので腕を広げれば端から端まで50cmに達するほど。

日本海側や関東以北の水族館で展示している個体は立派で見応えがあります。

ところが、生息南限である熊野灘の個体は腕長10cmほどで、むしろ小型~中型ウミシダといった印象。

同じ種類なのに、これほどサイズが違うのは興味深い。

 

さて。

先月の漸深帯底引き網採集で、そのヒゲウミシダが3個体だけ採集できたので、そのうちの2個体をへんな生きもの研究所で展示してみました。

今回はこのヒゲウミシダに心ときめく(個人的に)生物が付着していたので、それも展示できないかと。

それはスイクチムシです。体長5mmほど。

スイクチムシは、見かけからは想像つきませんが、実はゴカイなど同じ多毛類(環形動物)の一員。

170種ほどいるほとんどがウミユリ類(ウミシダ類)に寄生していますが、ごく一部がヒトデ、クモヒトデ類から報告されています。

一昨年、去年と熊野灘の沖合底引き網で採集した複数種のヒトデからスイクチムシの仲間(Asteriomyzostomum属 未記載種)を見つけました。

 

今回のヒゲウミシダのスイクチムシは、二つ折りのクレープ(あるいはタコス?)みたいな姿をしている Endomyzostoma属の一種(エンドミゾストマ属)

遺伝子解析からこの属はスイクチムシ類の祖先形だと考えられているようです。

このあたりも興味をそそられます。

実は、私がヒゲウミシダから Endomyzostoma属スイクチムシを見つけたのはこれが2回目。

初めて状態良く採集できたので展示したのですが、残念ながら数日後に死亡…

 

それでも貴重な生きものなので、無駄にしないよう標本に。

背景はなぜかさわやかな青空(笑)

なかなか興味深い生きものです。

【飼育研究部 森滝丈也】