トリカジカエラモグリ

2016年12月 16日(金曜日) 筆者 もりたき

ツイッターの反響が凄いことになっていますね…

先日公表したトリカジカに寄生するウオノエ類トリカジカエラモグリです。

ありがとうございます。

報道では私が新種を「発見」したということになっていますが(間違いではありませんが)新種を見つけて「ゲットだぜ!」というわけでは決してありません(笑)

私が水族館に搬入されたトリカジカに見慣れないウオノエの仲間が寄生していることに気付き、知り合いの研究者に見てもらったところ、まだ知られていない種類だと判明したので、研究者のお二人(齋藤暢宏さん、山内健生さん)が共同で新種記載論文を書いて、晴れて新種と認められた…というのが、いきさつです。

また、このウオノエは、実は過去にも別の海域で他の人によって採集されていたことも明らかになりました。誰もそれが新種だと気が付かなかったというわけですね。これらの標本も今回の論文に活用されました。

私も齋藤さんとつながりがなかったら、トリカジカのウオノエに気づいてもそのまま放置していたかも知れません。

 

そして今回、光栄なことに この新種ウオノエの学名に私の名前をつけていただけました。

Elthusa moritakii(エルツーサ モリタキイ)

恐縮です。

 

山内さんの報告によると、ウオノエの仲間は世界で約330種、日本では今回のトリカジカエラモグリを含めて35種が記録されているようです。熊野灘の沖合底引き網でも見ることができます。

例えばトンガリヒゲに寄生するソコダラエラモグリ。

アカムツの口腔内に寄生するソコウオノエ。

これはイシガキフグから見つかったフグノエ

複眼が退化しています。

これはカゴカマスに寄生するウオノエ。これは名前がまだ判明していないようです。

ウオノエの仲間は種内変異が著しいので、できるだけ多くの標本を見比べて分類をしなければいけないそうです。

標本を集めねば!

ところで、このニュースが流れる数日前に飼育日記ファンでもある神奈川県の小学5年生から偶然、ウオノエに関する問い合わせメールを頂いていました。

深海魚採集へ行って漁師さんからもらったアンコウの口の中や胃袋からアオメエソがたくさん出てきたそうです。その口の中にウオノエみたいなものがいたのですが…との問い合わせでした。

添えられた画像を見ると、確かにこれはウオノエです。

私が調べた限りでは、アオメエソに寄生するウオノエの報告は見あたりません。そこで山内さんに問い合わせてみたところ、エソ類にもウオノエは寄生することはしられているものの、まだ調べられた個体が少なく、どこにも報告されていないとのこと。

これはきっと小学生の情報も貴重なデータになるはず。

 

今回のニュースをきっかけにもっとウオノエが注目を受けるようになれば良いなぁ。きっと情報が集まるはず。

こんな風に水族館が一般の方と研究者をつなぐ存在になれればと考えています。

【飼育研究部 森滝丈也】